カイロプラクティス (3) 涙の治療
「あ゛あ゛あ゛~」だの
「いっ(たい)」だの
「ん゛!」だの
堪えていてもつい出てしまう。
首や肩の筋、背骨の両側に沿って走っている筋の凝り固まりをマッサージしてくれたり、体をねじって背骨や首の骨をポキッと調整したり、とにかく治療中は痛くて、我慢しても声が出てしまう。
「うるさくてすみません。」![]()
「大丈夫ですよ。」
だってほんっとに痛いんだもん。
「はい、今度は仰向けになってください。」
「は、はい。」
返事はしても体がさっさと動かなーい。動かせなーい。
「ゆっくりでいいですよ。」
「はい、すみません。」
顔を上げると、顔の部分に置かれている巨大あぶらとり紙のような紙に、目の部分だけ涙の跡。苦笑。
人ってどこか痛いとなぜ涙が出るんだろう。
仰向けになって背中から腰にかけてのあたりをねじって背骨をポキッと矯正する。
「はい、反対側」
「あ゛あ゛あ゛~、先生、い、痛いです、ここ、あ゛~、う、動けません、う、う・ご・け...」
「どれどれ」
痛いところを必死で「ここ、ここ」と指差していると、先生がその一体を揉みながら
「あ、これは転んだときのケガがもとで、筋肉がいま痙攣してますね。」
と言ってグイグイマッサージしてくれたら、スーッと痛みがなくなった。
マジシャン!思わず尊敬してしまう。
そんなマジシャンの手を見ると、女性の華奢な体には似ても似つかないがっちりした男性のような手だった。
天性なのかな、それともこういう仕事をしているうちにある程度変わったのかな。どちらにしてもこの職業にはあまりにもぴったりの手。かっこいい。魔法の手。
「大丈夫ですか。」
「はい、もうちょっと頑張って!」
「はい、こんな感じ。」
などと色々と声をかけてくれながら治療してくれる。
痛がっていても力を緩めてくれるときと、緩めないでがんがん治療を続けるときがある。
先生の治療は状況に応じてメリハリがある。
怪我をした辺りを、ステンレススティールのヘラのような平たい棒のようなものでゴリゴリ擦られる。部分的に赤くなり、そこは顔が歪むくらい痛い。
「ほら、この赤いのはScar tissue(痛んでいる細胞)。」
「っはー。」感心
「怪我してる部分は痛いけど、そうでないところは同じ力でこすっても、ほら、痛くないし赤くならないでしょ?」
「はい。痛くないです。でもこのscar tissueを浮き上がらせてどうなるのですか?」
「これは分解しているの。それが血管の中に入っていくんです。」
そうか、排出されたり浄化されたりするのか。
あの手この手で治療してくれる。
痛いけど、治療の後は気持ち良い。マッサージも痛気持ち良い。
だから治療は痛くても楽しみ。
友達のミナちゃんが既に1年も通院しているけれど、週日は仕事前とか週末とかも頑張って根気強く通っている訳がよく分かる。
「はい、それではこれから毎日首と腰と手首を1日5回、毎回10分ずつicingして冷やしてください。」
「はい。先生、どういうときに冷やしてどういうときに温めるんですか?」
「基本的には筋肉や筋は温めて、背骨や頚椎は冷やします。炎症を起こしているところは冷やします。愛子さんの場合は体が冷えない程度に頑張って部位を冷やしてください。」
はあ、なるほど。
「はい、今日はこのくらいにしましょう。できれば3日後にきてください。お大事に。」
「ありがとうございました。」
受付のマウロさんにアポを取ってもらって帰った。体が軽い!
先生すごいな。
つづく...
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