« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »

2009年6月

2009/06/23

おぞましい事件 

もう何年も経った今でも鮮明に覚えているあのおぞましい事件。


まだうら若き20代前半の夏。


大学を卒業後、社会人として日本で生活したいとの強い願望のもと、10年振りにひとりで日本に帰った。親元を離れての独り暮らしも初めて。

家族は皆アメリカに移住していたし、親戚も関西なので、もともとの出身地である横浜には特に頼る人はいない。
でも、東京に住んでいる、子供の頃から家族のように親しくしていた15歳くらい歳の離れた妻子持ちの男性が、自分を頼ればよいと言ってくれたので、職と住まいが見つかるまでお世話になることになった。

当時はその男性も家を新築する直前で昔の長屋のような、とっても古びた木造2階建てのアパートを居住スペースとしていた。京王線の線路沿いにあるので、電車が通る度に振動で地震のように揺れるし、ものすごい騒音でTVの音や、電話の相手の声がまったく聞こえない。
絶対あの振動の度に建物にも相当の負担が掛かっていたと思う。

それぞれの階に3、4畳の部屋が4つずつあり、そのうちの1部屋を寝泊りに使わせてもらっていた。

お風呂として階下の1部屋を改造してあり、その隣の部屋が脱衣室となっていた。

階下は日が差している時間も少なく、とにかく暗くすべてが古びていたので、何となく私にはただでさえ怖いイメージがあった。なのでお風呂に入るときは尚更だった。全裸となるわけだから完全無防備な状態なわけだ。


そしてその夜事件は起こった。

お風呂に入るべく脱衣室で衣類をすべて脱いだそのとき、何か黒っぽいものが「ブン」とすごい速さで私の前を横切って1メートルほど先の古い畳の上にバサっとランディングした。

「きゃー!」

そりゃ叫び声も出るでしょうよ。
10年振りに見る、黒光りするあの恐ろしき、でっかきゴキブリではないか!

でもその叫び声は2階にいるお世話になっている家族には聞こえない。聞こえなくて良かったけど。

日本とアメリカのゴキは比較にならない。気持ち悪いには変わりはないけど、アメリカのゴキは大きくても2cm未満で、第一飛ばない。それに色ももう少し明るい茶色(これもポイント)。


とにかく固まった。
ショックで身動きができなかった。
徐々に平常心を取り戻すも、自分が動くと相手も動きそうで、それだけは避けたかった。

触覚が右に左にユラユラと動いている。

「あはー、もうだめだ。私耐えられない。どうしよう。」

うら若き20代前半の当時の私は柔だった。
心臓がバクバクしている。
手ぬぐいで前を隠しながら両手を硬く胸元で握っている。 全裸で...。

っていうか、相手はゴキ。
されどゴキなのだ!

1分後くらいだろうか、それともほんの数十秒後くらいだろうか、そのおぞましきゴキは「カサカサカサー」とかすかな音を立ててどこか向こう隅に退散して行った。

私は向こう隅に目が釘付けになった状態でまだ動けないでいる。

やっと少し心が落ち着いてから、姿を消した辺りを自分の立っている位置から首を伸ばしてそーっと様子を伺った。
どうやら敵の再襲撃はなさそうなので、敵が退散した向こう隅とは幸い反対側にあるお風呂に抜き足差し足で向かった。もちろん向こう隅からは目を離さずに。

ドアを閉めてお風呂に入るもやっぱり気がかり。
だっていろんなところにへんな隙間があるんだもん。
いつまたゴキの襲来があるかわからないじゃん!

その日の入浴は無事に済んだ。

それ以来私はその家でのお風呂に入るのがずっと怖かった。
でも入らないわけにはいかなかった。


2週間後には入浴中にお目にかかった!

あれにも固まったなぁ。
敵は短時間で退散したけど。


でもよくよく考えてみると、寝るときだって怖いはずなのに、そのときはすっかりゴキ事件は忘れていた。

もしかしたら私の寝ている間に挨拶に来てたのかも。

っきゃー!

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2回目の9週間レッスンが終わった。 これからどうする? The 2nd 9-Week Lessons Ended. What am I going to do now?

「イゴールがいいよ。絶対お勧めだな。彼はきっちりと基礎を教えてくれるから。」と義姉。

私は『きっちりと基礎を教えてくれる』という言葉に弱い。
やっぱり何をするにも基礎が大事だもんね。

この言葉で、もしレッスンを受けるとしたら彼からと決断。

「(娘の)美香もイゴールに教わって本当に良かったし、私は色々な人に勧めているの。」

「でもたしか彼の英語(訛りがひどくて)分かりにくいのよね。」

「そんなことないよ。美香も分かってたし。他の人に比べたらそんなことないよ。」
姪も隣で会話を聞きながら頷いて、まるで彼からレッスンを受けるべきだと説得するかのように私を見ている。


もうこうとなっては、もしプライベートレッスンを受けるとしたらイゴールしかないでしょ。




2回目の9週間レッスンが終わった。 これからどうする?

残念ながら4レベルあるうちの3で終わった。

でも、4で習う内容も既にコーチが教えてくれていたので、クリアしなくてはいけない全種目のうち2つ以外はできている。

夏のグループレッスンは週日で私には不都合な時間帯しかやっていない。また同じようなグループレッスンは9月まで始まらない。

で、たとえそれを受けてクリアしたところで、その先に繋がるレッスンのプログラムはない。

となるとあとはプライベートレッスン。

いやほんと、これからどうしよっか。

去る12月に始めたときはバックのクロスができれば十分と思っていたし、そのハードルはとても高く見えた。
でも意外と簡単にできるようになった。そして当初思い描いていた「それなりに自由自在に滑れる」ようになっている。

じゃあ目標達成ということで、ここでやめにする?

んなわけないよね。

実際、良い運動にもなるし、更に上達したいのは確か。
べつにプログラムを組んでコンペティションで競うつもりはない。
でもやっぱり続けたい。
ダブルでなくてもシングルジャンプくらいは夢じゃなさそう。
スピンも頑張ればできそう。  かな?


取り敢えず今週末の土日のサマーキャンプに参加してみて、もうちょっと感触を掴んでみよう。
私と同じような人達が全国から、なかには海外からも集まって来てる人もいるそうなので良い刺激になりそう。
っていうか、私のことだから合宿が終わった時点でもっと上達したくなるんだろうな。

************************

"You should go with Igor.  I definitely recommend him. He teaches solid basics.", said my sister-in-law.

I have a soft spot for words like "solid basics."
Afterall, solid basics are important foundation in just about everything you do.

With these words out of her, I pretty much made up my mind that it will be him, if I am to take lessons.

"It was really good for Mika (daughter) that she took lessons from him, and I've been recommending him to many people."

"But I think I have hard time understanding his English, if I remember correctly."

"Oh, I don't think so.  Mika understood.  Comparing to other coaches, his English is not bad."
Mika is listening to our conversation, nodding to her mother's words and looking at me as if to persuade me to go with him.


Well, at this point, I can't think of anyone else but to go with Igor, if I am to take lessons.  Mr. K, the old man, on the other hand, is profoundly experienced in teaching and probably has a lot to offer, but I don't want to join his little "team" he has and I have good reasons to believe he would probably put together an outdated program with poorly edited music that I cannot refuse to perform.



The second 9-week group lessons has just ended.
What am I going to do now?

Unfortunately, I finished it at level 3 of 4.

But since my coach has already taught me many of what's taught in level 4, I'm able to clear all requirements except for 2.

The only group lessons offered in the summer season are during the week in the hours I cannot attend.  The similar group lessons do not start until September.

Even if I take group lessons and clear level 4, there are no programs to continue from there on.

So that would leave me with taking private lessons.

If I can only find someone on the same level of skating as I do, I can take semi-private lessons which would be a lot cheaper.

So, what am I to do now?

When I first started in last December, I thought being able to do backward crossovers would be enough and the hurdle seemed pretty high at that point.
But unexpectedly, accomplishing that came pretty easily and I am now able to freely skate as I once imagined to want to be.

Well then, I have achieved the goal, so shall I finish here?
Nah.

In actuality, it is a good exercise and I sure want to be better at it.
I have no intention of putting a program together and competing.
But I do want to continue.
Maybe not a double, but single jump may not be a dream.
I'll probably be able to do some spins if I tried hard enough.  Who knows?

I guess I'll participate in the summer camp program over this weekend and see what happens.  Of what I understand, there are so many people gathering from all over the country, and even some from overseas just for this ni the past, so this will be a good stimulating experience.
But it's me we'are talking about here...I'll probably want to continue to get better at it especially after participating in the camp.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

出費の年 / A Year for Expenses

今年はやけに予想外の出費が多いなぁ。weep
そういう年回りなのかもしれない。

歯の治療
週2,3回の長期のカイロプラクティックス治療
確定申告の収税支払額の増額と連邦税払い戻し額の減額
タラの癌治療

とにかく半端じゃない。

普段無駄遣いはしない方だから、潜在意識で予期してこのためにセーブしていたのかな、なんてすら思っちゃう。
だから...あぁよかったぁ~。

でも最近、心身の自己管理の大切さをつくづく感じる。
肉体的や精神的な自分のニーズに更に心を留めるようにするなどして「自分を大切にする」自己活動を行っている。
その一環としても、カイロの治療は続けるべきだと思うし、タラの癌の看病を健全な心や考えで続けるにも、スケートやピアノ、唄など自分の魂が喜ぶことを続けてきちんとバランスをとっていることがとても大切だと思う。

だけど何をするにも出費がかかる。

どこかでエキストラでお小遣い稼ぎをしたいところだけど、いまのスケジュールではそれは無理だな。

でも、それよりもこの御時勢できちんと収入が得られる職があることがとっても有難いと思う。

こんなに出費が多い状況で、そしてこの御時勢で、何とかやって行けていることがとても有難いと思う。

だから出費が多いと泣き言を言っている場合ではないのかも。

もっともっと、とてつもなく大変な思いをしている人は五万といるんだもんね。
TVで見聞きする悲惨なストーリーとは比べようにはならないから。

******************************

Boy, there are so much unexpected expense this year.
Maybe I'm in that period of cycle.

Dental treatment
Several months of two or three times a week Chiropractics treatments
Increase in state income tax payments and decrease in fed tax refund
Tara's cancer treatments

and they're definitely not just small amounts neither.

I'm pretty frugal to begin with, which makes me think that maybe I had subconsciously anticipated that this would happen and I was saving for it.
So...phew, how glad I am...

I've been feeling the sense of high importance in self-maintenance.
I choose to stay active in "self-indulgence" by being quite conscious about my physical and emotional needs.
As part of such activity, I think that I should continue with the chriopractics treatments, and also to attend to Tara's cancer treatments with clear mind and peaceful heart, I think it's important to continue with skating, piano playing and singing which replenishes my soul and thus maintain balance.

But they all incur expenses.

I would love to make extra bucks doing some side work, but I probably can't fit that in in my current schedule.

Nevertheless, I am greatly appreciative of having a job that pays well enough, especially in the economical turmoil the world is experiencing.

I am so thankful that I am reasonably able to manage such expenses under current economical situation everyone is facing with.

So maybe I shouldn't even be complaining about huge expenses.

Afterall, there are millions of people that are suffering from a lot more dire situation.
My problems are not even a comparison with the horrible stories I often hear on TV.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/06/16

私にとっての良いタクシー運転手 A Good Taxi Driver In My Book

マンハッタン内での移動は、歩ける距離であれば極力徒歩で、そうでなければ地下鉄やバス。

タクシーを使うときは、大体は用事があって仕事から抜け出さなくてはいけないときとか、出勤時に遅刻しそうなときのようにかなり急いでいるときくらい。

だからこそ、私にとっての良いタクシーの運転手とは、乱暴ではないけれど、状況判断して融通を利かせて、巧みに車線変更をして遅い車両をどんどん追い越して、さっさとスピーディーに目的地に到着してくれる運転手。少しくらい荒くてもいい。でも乱暴でない方がいい。

バスターミナルからオフィスまでは徒歩20分、地下鉄だとスムーズにいってdoor-to-doorで10分強。NYの地下鉄はよく遅れるので、徒歩20分の距離であればそう大差はない。


でも今朝はトンネルが渋滞してバスターミナルに着いた頃には出勤時刻を既に5分過ぎていたからタクシーにした。


そして大当たり!最高の運転手に当たった。

黒人のがっしりとした50代前半くらいの男性だった。

「Good morning.」

「Good morning.」愛想の良さそうな返事が返ってきた。

「 52nd and 6th Avenue please.」

「OK.」何分くらいで着くかなぁ。融通の利いた運ちゃんだったらいんだけどな。

ビューウン!

お!よしよし、このアクセルの踏み込み、いい感じじゃん!

ヒューン、スイスイ!(車線変更)

あ、いける!そうそう、ここはこの車線が一番早い。
分かってるじゃん!

ターミナルが面しているこのメジャーな道路は6車線あるけれど、両端は駐車車両が多かったりバス停でバスが停止したり、毎ブロックで交互に右折や左折する車両があるため真ん中の2車線が比較的スムーズに走行できる。

車線変更を頻繁にする割にはとてもスムーズで乗り心地はまったく悪くない。

この運転手さんいける!すごいなぁ。かなりのベテランとみた!



そして50丁目で右折した。52丁目とお願いすると運転手はだいたい52丁目で右折する。50丁目の方がどうやら早いらしい。
それも直前に同じく右折を始めたバスの外側を回り込んでの右折。

そうそう、この方が時間稼ぎできる。バスはだいたいゆっくりの走行だから外側から回り込んで隙間を見つければさっさと追い越せる。

案の定バスは右折し終わった瞬間停留所で停止したので、その脇をスーっと通り抜けてどんどん走行。どんどん走行してくれるから信号も黄色でもさっさと渡ってくれる。

この運転手さん、ほんとにただ者ではない!いつもこの運転手さんだったらいいのになぁ。

「You are good!!」
言わずにはいられなかった。

「What?」

「You are really good!  I wish I get your taxi everytime I need to take a taxi.(タクシーに乗らなくちゃいけない時は毎回あなたのタクシーに乗れればいいのに。)」

6番街で左折した。もう1ブロックで目的地。

「あっはっは、そうかい?ありがとう。毎朝何時に出勤するんだい?いつでも迎えに来てあげるよ。」
豪快に笑いながら答えてくれた。中南米の出身者らしい訛りがあった。

「今朝はとても遅いの。残念ながらいつもは歩きか地下鉄なの。」
2人で大笑いしていた。

そして目的地に到着してチップも弾んで快く別れた。

時計を見たら5分も経っていない。

すごぉ~い!
私にとって良いタクシーの運転手の条件をすべて満たし&プラスαの明るい運転手さんだった。
もっとチップ弾ませればよかったなぁ。

************************************

For moving around in Manhattan, I walk if it's viable, if not, I use subways and busses.

The only times I would take taxi are when I'm in a rush like going to some place during the working hour from my office or when I'm late for work.

That's why a good taxi driver in my book is a driver who does not drive rough but being able to be insightful of the street situation and be flexible, changes lanes smoothly and pass slow moving vehicles and gets me to the destination swiftly.  A bit of roughness in driving is OK, but not to the point that it's reckless and dangerous and gets me sick.

It takes 20 minutes by foot from the bus terminal to my office.  Subway will take just a bit more than 10 minutes door-to-door.  But NY subways are often late, so sometimes it makes not much of a difference with a 20-minute-walk distance.

This morning, the tunnel was jammed with traffic and by the time I reached the bus terminal, I was already 5minutes late at that point and decided to take a taxi.

I hit the jack pot!  I got a great drive

It was a big black man probably in his early 50's.

"Good morning."

"Good morning." the driver replied pleasantly.

"52nd Street and 6th Avenue please."

"OK." I wonder how many minutes it will take him.  I really hope this is a good flexible driver.

Zip!

Huh, good.  I like the way he steps on the gas.  Good.

Hey, this is not bad.  That's it, this lane works the fastest in this area.  Good, he knows.

The major street that the bus terminal faces have 6 lanes, but the lanes close to the crubs are slow due to the busses making stops or vehicles turning corners.  So the center 2 lanes are the best ones.

Despite his frequent lane changes, his driving is smooth and the ride is smooth.

Wow, this driver is good.  Impressive.  He must be quite an experienced driver, I thought to myself.

He turned on the 50th Street.  A driver usually turns on the 52nd when I asked for 52nd, but going down on the 50th must be faster...and it was.
As he turned, he went around the bus that was also simultaneously turning.

That's it.  This would save us time.
Bus generally moves slow, so if he goes around the bus, he has a chance of passing it.

A expected, since the bus made its stop immediately after it turned, we were able to pass it and zip through the next traffic light.  He would smoothly make the yellow light too.


This driver is extraordinary.  I wish I can get him every time.
"You are good!!"
I couldn't not say it.

"What?"

"You are really good!  I wish I get yoru taxi everytime I nned to take a taxi."

It turned at the 6th Avenue and we were just a block away.

"Ha, ha, ha, ha, is that right?  Thank you.  What time do you commute in the morning?  I'll come and get you anytime."
Driver answere with a roaring laugh with an accent, probably from somewhere in South America.

"I am soooo late this morning.  Unfortunately, I usually walk or take the train."
We both laughed.

We got to the destination and I gave him a good tip.

I saw my watch and it was under 5 minutes from the terminal.

Wooooow!
The driver this morning met my difinition of "good driver" in my book and more!

I wished that I had given him a lot more generous tip...

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/06/08

え?私が教える? ムリ!

スケートのレッスンが終わって、ベンチでスケート靴を脱いでブレードをタオルで拭いていた。

「Hello」
レベル1の生徒の男性が声をかけながらベンチに腰掛けてきた。
以前スケートのコツを少しアドバイスしてあげたことがある。お互い名前も知らない。
生徒同士でアドバイスをし合うこともある。
特に子供同士ではよくやっているようだ。

以前レベル1のほかの女性生徒さんにアドバイスをしたとき喜ばれたこともあって、苦労をしている人を見ると、自分も通った道なのでやたらめったらではないけれど、相手の反応次第で一言アドバイスをしてみることがある。


「Oh, hello.  How are you?」
あら、何かお話でもあるのね、などと思いながらブレードにカバーを被せながら会話を続けた。

「I'm fine.  How are you?」

「I'm doing well too.」

「How is your lesson coming along?(レッスンはどうですか?)」
一応聞いてみた。

「So, so.  Actually, ...(まあまあです。実は...)」

話が始まった。

9週間のグループレッスンもあと2週間で終わりで、夏にはクラスがないので是非私さえ良ければ教えて欲しいとのことだった。レッスン代も払いたいと言う。

え゛、え゛、え゛~?!私が教える?それはムリってもんでしょ!

「教えるなんて立場じゃないですよ!もちろん私の知っていることであればいくらでもお見せすることはできますけれど。でも過去に教えた経験などないしそんなことして良いのか...」

「いえ、いいんです。教えた経験などなくても。この前アドバイスして下さったみたいな感じでいいんです。私のレベルの生徒たちとも話していたんですけれど、貴方の教え方がすごくぴんとくるんです。」

たまげた。
そしてその男性は続けた。

「今教えてくれているコーチは経験も知識もとても豊富でnice ladyだけれど、教える人に知識があること以上に、この人の教え方が良いから教わりたいとかという気持ちが大切だと思うんです。私も子供相手にコーチする立場にあるんですけれど、ただ厳しく叩き込むのは違うと思っているんです。そういう意味でも是非貴方に教えていただければと思って。無理ですか?」

以前この男性にアドバイスしたときは、バックで滑ろうとしているけれど体全体がガチガチになって氷の上を滑るのではなくガリガリと氷と戦いながら辛うじて数センチずつ動いている感じだったので、「もっと楽になって、体中の筋肉をリラックスさせて、滑る感触を楽しんでいいと思う。こんな風にスーっとふわーっと」みたいなことを言いながら両手を広げて滑ってみせたのを思い出した。

無理かと聞かれて「ノー」とも言えず、かと言って私が教えるなんて甚だおこがましく思えて、でもでも頑なに拒絶するのも悪いと思って口をついた言葉は

「いえ、そこまでおっしゃるのであれば喜んで。でもとてもではないけれどレッスン代なんて取れません。」

「それではスケートの入場料だけでも払わせてもらえませんか。」

えぇ、いいのかなぁ。
一瞬迷った。

「Please at least let me pay for that(せめてそれくらいは払わせてください。)」

Pleaseと言われて「ノー」とも言えず結局お言葉に甘えることにした。

改めて自己紹介しあって、たまたま私は携帯電話を持ってきていなかったので私の番号を渡した。


それからもともと西海岸で生まれ育って12年前に東海岸に引っ越してきたことや、西海岸では日本人の友達が多かったこと、日本には出張で何度か行ったことがあることなど10~15分くらい聞かされた。早くタラのもとに帰りたかったのに...。この人お話が好きなんだ。

にしても、なんだかとても意外な展開になってきた。
最近何かと出費が多く、あまり時間をかけないで済むお小遣い稼ぎはできないもんかと思っていた矢先の出来事だった。

レッスン代は遠慮したけれど、入場料を出して頂けるなんて、それだけでも有難いと思う。
でもそんなことより私のアドバイスをこんなに快く感じ受けられていることが嬉しかった。

で、でも...教えるなんて。どうなることやら。

この話を昨日一緒に滑った兄にした。

「Maybe he is trying to pick you up.(もしかしたらナンパしようとしてるんじゃないか。)」

「え゛ー!そんなことないよ!」
兄はニヤニヤしてる。

「え゛ー!そんなことないよ!そんなはずないっちがうよ。
ちがうよね!っがーん。いや、ちがう。うん、ちがう!

兄は相変わらずニヤニヤしてる。

「もおー!annoy

っていうか、すってきなコーチにならナンパされたいかも。きゃはは!

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009/06/03

ボイスレッスン始まった!

体調不良や愛猫のタラの癌発病の騒ぎなどで延期になっていたボイスレッスン、やっと昨日から始まった。

タラの看病をきちんとするためにも、自己管理の一環として英気を養うために、敢えてスケートも続けているしボイスレッスンも始めることにした。

ヴァレンティン先生は温かくハグで迎えて喜んでくださった。

にしても、先生は本当に親切で誠実だし、そもそも癒し系だなぁ。


個人レッスンはちょっと高いのでグループレッスンにしたけれど、仕事の関係で30分も遅刻していかなくてはいけないのに、先生は私のために30分延長してくださるから、半分は個人レッスンみたいなものよね。
それに昨日は私以外の生徒はひとりで早々に終わっちゃったし、じっくり1時間半くらいレッスンしてくださった。感謝感激!


初回は発声法の説明が半分を占めるけれど、次回からはもっと発声に専念するとのこと。

きちんと発声法をマスターして、初めて選曲して歌を教えてもらえる。
それから親しい知人を数人招いてプライベートの6曲くらいの小リサイタルをする。
更に練習を重ねて観客の前で歌うことに慣れるためにリサイタルの規模を大きくする。
CDに録音するなどしてそこからは自分の好きな活動を始める。

というのが流れだそうだ。


レオナルド・ダヴィンチの描いた頭蓋骨の絵やホワイトボードなど、色々と使って丁寧に分かりやすく教えてくださった。

ひとつずつ説明しながら、すてきなバリトーンの声で「You understand?」と語尾を下げながら確認して下さるのが印象的だった。


へぇ、おでこには空洞があるんだ。知らなかったな。その外側で音を響かせる。なるほど。

胸郭を開いて横隔膜を張った状態を保って体中を「音の箱」にする。喉の筋肉には負担をかけずにおでこの外に音を響かせる。


初めてのレッスンだったので、横隔膜を張った状態を保つことをたまに忘れたり、喉の筋肉を使ってしまったりと課題はあったけれど、全般的にはきちんと声が出せたと先生も喜んでくださった。

母音で色々なバリエーションで半音ずつ上がったり下がったりしながらの発声練習。
きちんとできると、ときには先生が電子ピアノ越しに手を挙げてハイファイブを求めてくる。
分厚い温かい手に私の手をポーンと当てて応える。
こんなところにも先生の気さくさが感じ取られる。

「目を開けて発声してごらん。」

「はい。」
そっかぁ。
カラオケで唄うときやピアノを弾くときも鍵盤を見なくても弾ける曲は、目を閉じて演奏した方が集中できるので、そうしてしまう癖がある。


「今は一生懸命意識しても正しい発声ができないことがあっても、これから練習を続けることで意識しなくても自然と正しく発声できるようになるんだよ。」

そっか。うん、早くそうなれればいいな。

低音でたしか真ん中のドから1オクターブ下のドの音、高音は真ん中のドから2オクターブ上のミ♭まで出たとのこと。えええ?そんなことあり得るのかな。
でもマライア・キャリーの高音より出てるっておっしゃってたし。
これには驚き。
でも発声法の観点からだしねぇ。
どちらにしてもきちんと横隔膜を意識して喉に頼らない発声をすると音域も広がるんだ。


「初回でこれだけ声がきちんと出るんだから大したもんだ。私の細かい指示もきちんと覚えている。きっと上手くなるよ。」
という先生のお言葉が嬉しかったし、やる気が更に奮い立たされた。
そしてレッスンもハグで終わった。


来週までの1週間が長いなぁ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/06/02

よく頑張ってるね!タラ、有難う

5月22日(金)昼前、デスクの電話が鳴った。
ディスプレイに動物病院の電話番号が表示されていたのですぐに取った。
主治医のDr. Shahだった。

「今日タラちゃんの腫瘍の生体検査の結果が出ました。リンフォーマ(リンパ腫という型)の癌です。すぐにキモセラピーを開始する必要があります。余命は数ヶ月から1年でしょう。キモセラピーの頻度は...。」

頭の中が真っ白になりそうなのを一生懸命制して次々に受話器から出てくる情報を頭の中で処理していた。

「今日は癌の専門医がいるので、早速治療を開始したいと思いますが同意してくださいますか。」

「それがベストだと判断されるのであれば宜しくお願いします。リンフォーマのスペルを教えてくださいますか。キモセラピーの副作用はどのようなものでしょうか。」



ショックなんてものではなかった。2ヶ月前に最初に嘔吐が始まったときから2-3週間という期間中にかかりつけの動物病院で受けたレントゲン、尿、血液などの検査には何も異常が確認されなかった。獣医さんも原因が分からず頭をかかえていた。超音波検査を進められた。

獣医に連れて行く度に体力も気力も消耗するだけでなく血尿が出ることもあるデリケートなタラなので、ただでさえ嘔吐しているのにこれ以上弱るのもこわくて獣医にすぐには連れて行く気になれなかった。

そして5月19日、いよいよ2日間食欲が激減して2、3口舐める程度しか食べなくなったので急いで動物病院に電話したら、超音波の検査を進められ、その日はその病院に超音波の担当者がいないので、別の24時間体制の大きな動物病院を紹介された。

新しい動物病院で早速予約がとれたので仕事を休んで連れて行った。

どうせまた超音波でも原因が分からないで返されるんだろうな。
という思いとは裏腹に、胃壁の8割が分厚くなっていて腫瘍が確認されたという。
そして腫瘍の細胞を喉から採取して生体検査を行う必要があるし、食事もしないし吐き続けるのであれば即入院。ということで意外な展開となった。


4日後の5月23日、食事はしていないけれど元気をある程度取り戻したので退院して良い。でも48時間以内に食べ始めなければまた連れて来るようにと言われた。


退院した翌日、やはり食べずにみるみると痩せ細り、あまり動かない。ベッドの下に身を潜めることも多い。

これはかなりまずい。

タラがこれ以上苦しまないことが最優先。

安楽死の選択はどこでするべきなんだろう。
もうそういう時期に来ているのかなぁ。
私に何の権利があってタラの大切な命の選択ができるんだろう。

最良の決断は何なんだろう。

こんなことになる前にもっと他の手立てを考えることはできなかったのだろうか。
もっと早くに超音波の検査に連れて行ってあげたらこんなことにはならなかったはず。

峠を越せたとしてもどれだけ元気になるのか。何を元気と見なすのか。治療を続ける価値は何を元気と見なすかにもよるし、経済的な部分も決して無視できない。

4日間の入院、様々な薬の投与、キモセラピー、超音波などを含めて$4,300もとられたし、これからのキモセラピーも半年続けたとして更に$3,500くらいを見積もられた。


様々な疑問や考えや感情が脳内を駆け巡り、それに対して自分の体も、涙、ため息、脱力感など反応している。


瞑想した。
神様にお祈りした。

そして神様にすべての問題をお預けすることにして、私は与えられた状況の中で、ひとつひとつ冷静に慎重に判断、決断してゆくことに決めた。

そうだ!医療的なことは獣医さんに任せるとしても、タラのことを一番よく判ってあげれているのは私なんだ。
一番苦しんでいるのはタラ。一番頑張っているのはタラ。
そんなタラのために最良の選択をしてあげるためには冷静でいなくちゃいけない。
そう、悲しみなんかに浸っている場合ではないのだ!

神様、私がタラにとって最良の決断ができるようにお導き下さい。

そして退院して48時間になろうとしている。
依然として食欲もなくじっとしている。

もう覚悟を決め始めたけれど、取り急ぎ病院に連れて行った。

皮膚下にビタミン入りの水分を15分かけて補給して家に帰るか、1泊預けて点滴で24時間かけて栄養分を補給するかの選択をしなくてはならなかった。
とても温かく癒し系のその獣医さんはどちらを選択しても大丈夫だと言ってくれたので前者の一旦家に連れて帰る方を選んだ。

15分後、タラを抱いた先生が再び現れ、「これでかなり元気を取り戻すと思いますよ。」と笑顔で私に引き渡した。

先生のおっしゃった通り即効で元気になって、食欲増進剤の効果なのかキモセラピーの効果なのか少しずつ食欲も増してきた。
数日間でみるみる元気になってきた。
痩せ細った体は背骨がゴツゴツしているし、顔も小さくなり、後ろ足も肉が落ちて弱々しく、全体的に小さくなっているけれど、確実に元気になってきている。

足にも擦り寄って甘えてくる。
痩せ細った体を優しくマッサージしてあげるとゴロゴロと気持ち良さそうにする。
ピアノを弾いてあげるととてもリラックスし始める。特にバッハ/グノーのアヴェ・マリアを弾いたり唄っていると足元にやって来て、超音波のためにツンツルテンに毛を剃られたお腹を出してゴロンと寝転がる。

こんな愛情表現をする、頑張っているタラの命を絶つことなんて考えられない。



そして今日。
病気になる前の元気だった頃以上に食欲が増してお腹すいたー!っと催促されるまでになった。
がりがりに痩せ細った体にも少しずつ肉がついてきているのが分かるし、必然的に体力も気力も更に回復。
退院2日後に考えた安楽死も、将来どうなるかは別としても、少なくともある程度元気になってくれた今は選択肢に無い。

私にはサポーターが沢山いる。
職場でも秘書仲間でリーダー格の女性が、とても理解を示してくれているので、彼女がいる限り急に半日休んだりもしやすいのは大きい。
仲良しのミナちゃんは、以前愛犬を同じリンフォーマの癌で亡くしているので、猫と犬では反応や対応の仕方が違うけれど、看病のこととか様々な決断に関してもすごくよく理解してくれて勇気をくれて、元気付けてくれる。
新しく紹介された動物病院はとても親切で癌の専門医もとってもとってもとっても優しくて優秀な先生のようでとっても信頼できる。



何よりもタラが一生懸命頑張ってくれている。

だから私もタラ以上に一生懸命看護するね、タラ。



ねえ、タラ、有難う。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »