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2009/06/08

え?私が教える? ムリ!

スケートのレッスンが終わって、ベンチでスケート靴を脱いでブレードをタオルで拭いていた。

「Hello」
レベル1の生徒の男性が声をかけながらベンチに腰掛けてきた。
以前スケートのコツを少しアドバイスしてあげたことがある。お互い名前も知らない。
生徒同士でアドバイスをし合うこともある。
特に子供同士ではよくやっているようだ。

以前レベル1のほかの女性生徒さんにアドバイスをしたとき喜ばれたこともあって、苦労をしている人を見ると、自分も通った道なのでやたらめったらではないけれど、相手の反応次第で一言アドバイスをしてみることがある。


「Oh, hello.  How are you?」
あら、何かお話でもあるのね、などと思いながらブレードにカバーを被せながら会話を続けた。

「I'm fine.  How are you?」

「I'm doing well too.」

「How is your lesson coming along?(レッスンはどうですか?)」
一応聞いてみた。

「So, so.  Actually, ...(まあまあです。実は...)」

話が始まった。

9週間のグループレッスンもあと2週間で終わりで、夏にはクラスがないので是非私さえ良ければ教えて欲しいとのことだった。レッスン代も払いたいと言う。

え゛、え゛、え゛~?!私が教える?それはムリってもんでしょ!

「教えるなんて立場じゃないですよ!もちろん私の知っていることであればいくらでもお見せすることはできますけれど。でも過去に教えた経験などないしそんなことして良いのか...」

「いえ、いいんです。教えた経験などなくても。この前アドバイスして下さったみたいな感じでいいんです。私のレベルの生徒たちとも話していたんですけれど、貴方の教え方がすごくぴんとくるんです。」

たまげた。
そしてその男性は続けた。

「今教えてくれているコーチは経験も知識もとても豊富でnice ladyだけれど、教える人に知識があること以上に、この人の教え方が良いから教わりたいとかという気持ちが大切だと思うんです。私も子供相手にコーチする立場にあるんですけれど、ただ厳しく叩き込むのは違うと思っているんです。そういう意味でも是非貴方に教えていただければと思って。無理ですか?」

以前この男性にアドバイスしたときは、バックで滑ろうとしているけれど体全体がガチガチになって氷の上を滑るのではなくガリガリと氷と戦いながら辛うじて数センチずつ動いている感じだったので、「もっと楽になって、体中の筋肉をリラックスさせて、滑る感触を楽しんでいいと思う。こんな風にスーっとふわーっと」みたいなことを言いながら両手を広げて滑ってみせたのを思い出した。

無理かと聞かれて「ノー」とも言えず、かと言って私が教えるなんて甚だおこがましく思えて、でもでも頑なに拒絶するのも悪いと思って口をついた言葉は

「いえ、そこまでおっしゃるのであれば喜んで。でもとてもではないけれどレッスン代なんて取れません。」

「それではスケートの入場料だけでも払わせてもらえませんか。」

えぇ、いいのかなぁ。
一瞬迷った。

「Please at least let me pay for that(せめてそれくらいは払わせてください。)」

Pleaseと言われて「ノー」とも言えず結局お言葉に甘えることにした。

改めて自己紹介しあって、たまたま私は携帯電話を持ってきていなかったので私の番号を渡した。


それからもともと西海岸で生まれ育って12年前に東海岸に引っ越してきたことや、西海岸では日本人の友達が多かったこと、日本には出張で何度か行ったことがあることなど10~15分くらい聞かされた。早くタラのもとに帰りたかったのに...。この人お話が好きなんだ。

にしても、なんだかとても意外な展開になってきた。
最近何かと出費が多く、あまり時間をかけないで済むお小遣い稼ぎはできないもんかと思っていた矢先の出来事だった。

レッスン代は遠慮したけれど、入場料を出して頂けるなんて、それだけでも有難いと思う。
でもそんなことより私のアドバイスをこんなに快く感じ受けられていることが嬉しかった。

で、でも...教えるなんて。どうなることやら。

この話を昨日一緒に滑った兄にした。

「Maybe he is trying to pick you up.(もしかしたらナンパしようとしてるんじゃないか。)」

「え゛ー!そんなことないよ!」
兄はニヤニヤしてる。

「え゛ー!そんなことないよ!そんなはずないっちがうよ。
ちがうよね!っがーん。いや、ちがう。うん、ちがう!

兄は相変わらずニヤニヤしてる。

「もおー!annoy

っていうか、すってきなコーチにならナンパされたいかも。きゃはは!

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